”有理式”係数の"微分作用素"環の構成のあらましと捉え方
を変数の多項式とすれば、変数の有理式とは式と
表記できるもののことである。だって立派な多項式であるので、と考えれば多項式は
有理式と思える。
では準備の第一段階として、非負整数の集合を、複素数の係数を持つ変数の有理式全体の為す体をで表そう。
また、ステップ2として有理式に対し、 で微分作用素 の掛け算を定義すると、
一般の微分作用素の多項式と内の有理式の掛け算は、上の定義と結合法則、分配法則を適用して矛盾は生じない。
このことから有理式と微分作用素で生成される環を「”有理式”係数の"微分作用素"環」と呼びと書く。
以下変数の数を明示する必要がなければを省略する。
をの有限部分集合、を多重指数表現とし、多重指数の大きさをと書く。このような記号を用いると、は上の無限次元線形空間としての側面を持つことが分かる。の元は常に各をギュッと右に寄せた形に書くことが出来、微分作用素の和算と"有理式"倍にのみ焦点を当てた表記と見ることが出来るからだ。こうして、においてを形式的な基底のように捉えることは考え方として有用であるので覚えておくとよい。